皆さんこんにちは
花を買う人(はなを)です。
甘くてとろりとしたハチミツと、サラサラした粉末の花粉。どちらもミツバチが集めてくるものですが、その見た目は全く違いますよね。「ミツバチは花粉を集めてハチミツを作る」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれは大きな誤解なのです!
今回は、ミツバチが集める「花粉」と「蜜」の違い、そして花粉がどのように利用されるのか、その秘密に迫ります。
蜜と花粉、それぞれの役割の違い
まず、ミツバチが集める「蜜(ネクター)」と「花粉(ポーレン)」は、役割が全く異なります。
蜜(ネクター)

密は花の奥にある蜜腺から分泌される、糖分を多く含む液体です。ミツバチはこれを集めて、体内で酵素と混ぜ合わせ、水分を飛ばすことで「ハチミツ」へと加工します。ハチミツはミツバチのエネルギー源であり、巣全体の食料貯蔵庫として非常に重要です。
花粉(ポーレン)

これは花の雄しべで作られる、非常に小さな粉末状の粒です。ミツバチはこれを集めて巣に持ち帰り、自分たちや幼虫の「タンパク質源」として利用します。人間でいうところの「主食」と「おかず」のような関係だと考えると分かりやすいかもしれません。
このように、蜜は「糖質(エネルギー)」、花粉は「タンパク質・ビタミン・ミネラル(体の材料)」というように、ミツバチの体にとって異なる栄養素を供給する役割を担っています。
粉状の花粉をどのように運ぶのか
花粉は粉状なので、そのままでは持ち運びや保存が大変です。そこでミツバチは、賢い方法で花粉を運び、蓄えます。
花粉を体に付けて集める

働きバチが花から花へと飛び回るとき、体毛に花粉がたくさん付着します。ミツバチの体毛は枝分かれしており、花粉を効率よく捕らえることができます。
「花粉かご」で運ぶ!

体に付いた花粉は、後脚にある「花粉かご(ポーレンバスケット)」と呼ばれる特殊な構造に集められます。ミツバチは、脚を使って体の花粉をかき集め、蜜や唾液で少し湿らせながら、この花粉かごに押し固めていきます。こうして、小さな「花粉だんご」が作られます。
ハチミツが液体である理由

では、なぜハチミツは液体なのでしょうか? これは、ミツバチが蜜を集めてからハチミツになるまでのプロセスに秘密があります。
ミツバチが花の蜜を吸い込むと、それは蜜胃(みつい)に一時的に貯蔵されます。この蜜は、主にショ糖という種類の糖分を含んでいます。巣に戻ったミツバチは、この蜜に自身の体内で生成される「インベルターゼ」という酵素を混ぜ合わせます。この酵素は、ショ糖を果糖とブドウ糖という別の糖に分解します。
さらに重要なのが、「水分を飛ばす」工程です。ミツバチは、巣房に貯めた蜜を羽で扇ぎ、巣の換気をしながら、余分な水分を蒸発させます。花の蜜の水分含量は60~80%程度ですが、ハチミツになると水分含量は20%以下になります。
このように、蜜に含まれる糖分の種類が変化し、そして何よりも水分が極限まで少なくなることで、ハチミツはとろりとした粘り気のある液体になるのです。
まとめ
ミツバチが集める花粉は、決してハチミツにはなりません。花粉はミツバチや幼虫の成長に不可欠なタンパク質、ビタミン、ミネラルを供給する「栄養源」として、蜜はエネルギーとなる「貯蔵食料」として、それぞれ全く異なる役割を担っています。
ミツバチの巣の中では、それぞれの役割を持った物質が、驚くほど効率的に収集・加工・貯蔵されています。小さな体で地球の生態系を支えるミツバチたちの知恵には、本当に驚かされますね。
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